カラマーゾフの兄弟をよみ

2008,12月 8 at 1:42 pm ()


カラマーゾフの兄弟 上 新潮文庫 ト 1-9

今やっと読み終えた。
とにかく長かった。読んだ達成感は非常にある。

第三者によるアリョーシャの伝記という事で物語が始まる。
登場人物はまず主人公のアリョーシャ、そして兄弟のミーチャ、イワン、父親のフョードル、腹違いの兄弟と言われるスメルジャコフ、美女のカテリーナ、グルーシェニカ。
この面々が主な登場人物だ。
物語は第三者によるアリョーシャの自伝という事で始まる。
登場人物の紹介が序盤の流れで、アリョーシャは敬虔なキリスト教徒、ミーチャは放埒な無頼漢、イワンは知的な無神論者で父親は金持ちで酷い女好きという設定になっている。
そしてミーチャとフョードルのグルーシェニカをめぐる確執やイワンのカテリーナへの愛情などが描かれつつ、やがてフョードルが殺害されるという事件が起きる。
その容疑者として捕まるのが以前から父に不満を口にしていたミーチャであって裁判にかけられ、最終的には有罪を言い渡される。

正直序盤はのめり込めなかった。登場人物の紹介が冗長的で読んでいて非常に疲れた。
登場人物の発言も全体的に自分には納得できない自由奔放で独りよがりなものが多いと感じたが、これはロシア人と日本人の感覚の違いだろうか。
あと宗教的な話が多かったのも理解が難しかった、聖書からの引用などが多数見られ、本当に理解する為には聖書の読解を要するだろう。
中盤の殺人事件が起きてからの描写は読んでいて面白かった。しかしこれを推理小説として読めるという意見には納得は出来ない。トリックが奇抜であるわけでもないし、ドストエフスキーも絶対にそのような読み方を期待しているとは思えない。あくまでカラマーゾフという兄弟を書くことによって自分のロシア人のあり方や自分自身の思想を表現しているのだと思う。
話を戻すが、ミーチャの破天荒な振る舞いや、支離滅裂な発言は読んでいてこんな人間は居たら迷惑だろうなと思いつつなぜだか憎めない、存在だと感じた。
そしてなにより魅力的なのがグルーシェーニカだ。ミーチャとフョードルが惚れるわけもわかる。少々太り気味ではあるだろうが艶めかしくて整った顔立ち、豊満な肉体。妖しいささえある黒いショールなどに見られる服装のセンス。何とも言えないものがある。
話し方も発言も高飛車な風が良いと思う。
裁判に入ってからがまた冗長的かつ登場人物の発言が詭弁ばかりに集中して読めなかった感があるが、ミーチャの弁護士や検事による心理描写が面白くて貶しつつ褒めたりよくわからないものだった。

哲学的な話や宗教的な話しが全体に強い印象だ。
一見するとドストエフスキーは無神論者なのかと思ってしまうがどうなのだろうか。
イワンに語らせた「大審問官」は自分の思想を反映させたものなのか、皮肉ったものなのかが難しい。
「せっかくあんたが死んだ後、作った秩序を今更のこのこと生き返ってきやがって、まためちゃくちゃにするのは許さん。バーカ。」って解釈で良いのだろうか。

全体的に自分は理解しきれて無いのは否めない。
おそらく何十回も読まなければ理解できるものではないと思う。
しかし人生に一回であろうと読む価値のある本だということは言わずもがな。
このような本に巡り会えたことを幸せに思う。

パーマリンク コメントを書く