スラッシャー 廃園の殺人-三津田信三
このどんでん返しにはやられた!
メタフィクションが二重に三重に仕掛けられていて結末はやられたと感じた。
今までの三津田作品の傾向から言って女性キャラが犯人だと思っていたけど実は犯人じゃなくて、本当はこいつかと思ったのも実はちがくてというのは今までに読んだこと無かった。
ただ殺害シーンの描写がグロテスクだと思う。スプラッターものが大丈夫な人は良いと思うけど、苦手な人はきついかな。
でもそれを差し引いても良い作品だと思う。
面白かった。
凶宅-三津田信三
全体的に言って忌館と禍家に似ている。
主人公の家族が引っ越すところから始まるというのは、忌館の中の忌む言えと禍家の冒頭と一緒だし、年齢も小学生というのが共通している。
そして主人公が嫌な予感を感じるのも同じだ。
読んでるときもなんだかデジャブに陥った。
でも最後は救いようの終わりになるのかと思ったらそうではなかったので中々良いエンドだとは思った。
三津田信三の小説はなんだかんだで面白い。
十三の呪-三津田信三
死相が見えると言うことで、それを利用し死相が見えた人物の問題を解決する探偵を始めた弦矢俊一郎が主人公だ。
おそらくシリーズものになると思われる。サブタイトルにも死相学探偵1とある。
プロットは特殊な能力を持った主人公が何かと十三にまつわる怪事件を解決するというものだ。
十三が不吉な数字というのは知らなかった。思えば十三日の金曜日に十三が使われてたなと。
犯人はとくに意外と言うほどでもない、判明した後はああこの人かと思った。
全体的に言って格別面白くもないがつまらないわけでもないと言ったところだろう。三津田ファンなら読んで損はないレベル。
それにしても主人公の性格がひねくれてるというか冷たいというかあんまり感情移入は出来ないなあ。
あとこの作者の傾向か分からないが、よく祖母の存在が大きいと思う。
クラッシャージョウ宇宙海賊の罠
クラッシャージョウシリーズの二巻目で今回は希少動物を運ぶというミッション。
個人的に感じたのは、アルフィンをうまく活用しきれてないなぁと感じる。
キャラがしっかりしてないというかなんというか。王女様だった割には殺人に抵抗なさすぎだろとつっこみたくなった。
あと宇宙海賊の罠というほどの罠がないというのも不満だった。ドメニコザブルーザーをもっと魅力あるライバルにして欲しかったというのが感想。
今後の展開に期待したい。
禍家ー三津田信三
忌館を読んでこの人の作品はどれも面白そうだという事で買って見たのだが、果たして面白かったので安心した。
少年が初めて来たはずの場所にデジャブを感じて、引越し先の家で様々な怪奇現象に出会うという展開だ。
それにしても忌館を読んだ時も思ったのだが、不満点として少年が小学生にしてはやたらませていて考えかたがどうも年相応に思えない。それが納得いかないのがまず一つ。
二つ目は怪奇現象が変に非現実的で恐怖感が若干弱い。首のない死体がはって迫ってくる描写は少々白けた。
三つ目は主人公の反応が大げさすぎて読んでいてムカムカしてくる。
これ等の点が気にいらなかったが、読んで行くうちに話に引き込まれていって最後は一気に読み切れたのでいい小説だと思う。
夜中に一人で読むと雰囲気が出てより良いのかもしれない。
ただ忌館とラストが似ているのはいただけないかなと思う。
そこにデジャブを感じさせるのが作者の意図ならそれはうまく出ているのだろうが二番煎じの感が否めないだろう。
刺青-谷崎潤一郎
谷崎潤一郎は足フェチで、何となくエロチシズムのかほりがしてたのだけど読んでみると意外とそこまででもなかった。
女の白い素足が云々というようなことが書いてあるのは、ほんの一部分で、殆ど女と男のやりとりだった。
刺青をした後の女の変わりようには何とも言えないものがある。
そこまで刺青一つで変わるものなのかと思って成らない。
まあそこは物語の話だからしょうがないか。
それにしてももう少しエロティックでも良いんじゃないのかしら。
クラッシャージョウ連帯惑星ピザンの危機ー高千穂遙
スペースオペラは設定やキャラが大切だと思った。
この話に関してはストーリーは正直ありがちなものだと思う。
主人公のジョウがクーデターを起された国の王女を救出し、そのクーデターを起こした人物を倒しに行くというものだ。
レーザー銃の類やアートフラッシュという何だかよくわからないものが出てくるが登場人物に動きがあって面白い。
巨大な生物と戦ったり、鳥獣に襲われたり等々。ありがちだがハラハラさせられた。
なにかを学び取ると言ったような小説じゃないが、読んでいて面白いという点でこのシリーズが気になるところだ。
こころー夏目漱石
この作品を読んで行くうちに「私」の考え方に同意できる点が多い事に気付いた。
「先生」のような、多くの人とは何かしら違うところがありそうな人に惹かれると言うのは僕にもある。
実際のところ「私」が「先生」を慕っているように、僕には慕っている人はいない。でもそういう風なひとが現れて欲しいと常々思っている。
大学の教授のような人が良いのかも知れない。
僕の友人の一人は「先生」を教授の一人に見つけたようだ。それ以来何だか生き生きとしている気がする。
それが時にうらやましいと思う時があるから、大学の教授がいいと思うのかもしれない。
授業以外のあらゆることを話せて議論できる人が欲しい。でもそれは年上でかつ尊敬できる人でなければいけない。そして他人とは違うといった自惚を持っていて欲しい。
「先生」の「K」に対しての、接し方は納得できない点があった。
自分でも言及していたが素直に自分の気持ちを言うべきだったし、いささか被害妄想の気もの否めない。
けれど自分の気持ちを吐露したところで「K」は自殺せずに生きていたらみんなが幸せになれていたかというと、どうとも想像がつかない。
ただ「先生」の奥さんの八方美人さも自殺に関係がもつれたのに影響が有ったのはいうまでもないと思う。
「K」の自殺が恋によるものだけではなかったろうが、それに思い詰めていたのは明らかだ。
僕も自殺するほどに悩みたくはないが、思い詰めるほど人を好きになれたらと思う。
最近の僕は「先生」と同じで自分自身含め、人間が嫌いになっている。
イワン・イリッチの死-トルストイ
病気で死んでいく男の精神の悟りと、その取り巻いている人間の心理を描写した作品だった。
生きる意味や人間の身勝手さを考えさせられる。
死にかけてこそ分かることが世の中には有るのだろうか。
生き甲斐とは何なのか。
周りの人間の陳腐さ、理解のなさ。
そして自分の独りよがりの考え。
様々な事が特にこれと言った事件があるわけでもない、イワンの人生によって書かれている気がする。
忌館-三津田信三
主人公はある日津口十六人という人物が『百物語といふ物語』と言う作品を、自分の名を騙って小説を新人賞に送っている事を下読みをしていた友人から聞かされる。
その後東京に引っ越した三津田信三は奇妙な場所にある、不気味なイギリスのハーフ・ティンバー様式なる洋館に住むことにするだが、そこで書き始めた小説に津口十六人なる人物を登場することにしてから主人公の奇妙な日常が始まる。
ミステリーとホラーの二つがいい感じに混ざり合っていて、読んでいて恐怖感もありつつ謎解きの楽しみもあり非常に良い作品だった。
独特の陰鬱とした雰囲気が心地よく、猟奇的な描写がそそった。
主人公の心理描写も精神錯乱した感じが良かった。
ラストも意外性のあるミステリーらしい終わり方でよくまとまっていたと感じた。
よく読めば気づくけど、気づいたとき、「あ、そうだったんだ」と思わさせるところに著者の腕が見られるのだろう。
決して理不尽すぎないところが評価できる。
次は単行本で出てるの作品を読んでみたい。
